院長コラム

精液に血が混じる!!赤い精液!どうしたらいいの??【血精液症】

皆さんこんにちは。


今回は「精液に血が混じる」「精液が赤い・ピンク色になる」という 血精液症 についてお話しします。

精液は本来は白〜やや黄色みがかった色ですが、実は体調や状況によって多少色が変化することがあります。


その中でも 赤色や茶色が混じると受診される方が非常に多いです。

「癌ではないの?」
「性病?」
「放っておいていいの?」

と不安になってしまいますが、多くの場合は 良性で自然に治ることが多い です。

年齢や症状によっては精査が必要な物もありますので是非ご相談ください。


精液の中に血液が混じり、

  • 赤色
  • ピンク色
  • 茶色(古い血)
    などが見える状態を指します。

痛みなどの症状がないことが多く、「気づいたら精液の色だけ異変がある」というケースが一般的です。


血精液症の原因は多岐にわたりますが、実際は はっきり原因が特定されないことも多い です。

よくある原因

  • 前立腺や精嚢(精液を作る臓器)の炎症、出血
  • 前立腺炎(急性・慢性)
  • 射精管の炎症
  • 頻繁な性行為・マスターベーションによる刺激
  • 長期間射精しなかった後の“詰まり”
  • 加齢による血管のもろさ
  • 強い咳・便秘・運動後のいきみ

40代以降では、毛細血管が破れやすくなることから、特に原因がないのに発症することも珍しくありません。


考えられる疾患としては以下のようなものがあります。

  • 前立腺炎/精嚢炎(最も多い)
  • 前立腺肥大症
  • 前立腺がん
  • 膀胱がん・尿道がん(血尿を伴うことが多い)
  • 尿道炎(淋菌・クラミジアなどの性病)
  • 血液凝固異常(抗凝固薬の影響など)
  • 結石(前立腺・精嚢周囲)

特に40歳以上の方や、血尿を伴う場合は、前立腺がんとの区別をつけるために一度は泌尿器科でチェックしておくと安心です。


泌尿器科では以下のような検査を組み合わせて行います。

基本的な検査

  • 尿検査(炎症・感染の有無)
  • 超音波(エコー)検査
    前立腺・精嚢の腫れや炎症を確認
  • 触診(直腸診)
    必要に応じて前立腺を確認
  • PSA検査(前立腺がんの血液検査)
  • 血液検査(炎症の程度、凝固異常など)
  • 性感染症検査(淋菌・クラミジア)
  • CTやMRI(画像検査)

※ほとんどの方は大きな異常がなく、安心して帰られます。


治療は原因によって異なります。

炎症が原因の場合

抗菌薬や前立腺の炎症を抑える薬を使います。
※最も多いパターン

性感染症が疑われる場合

→ 淋菌/クラミジアに合わせた 抗菌薬治療を行います。

前立腺炎が背景にある場合

→ 抗菌薬+前立腺肥大の薬(排尿をスムーズにする薬)等を併用することもあります。

原因不明(実は多い)

自然に数週間〜数ヶ月で治ることがほとんどです。
治療不要の場合も多く、生活制限も特にありません。

※繰り返す場合は精嚢に炎症が残っていることがあるため、一度しっかり検査を受けることをおすすめします。


精液の色は、体調・精嚢の状態・射精の間隔で変化します。

黄色

・射精の間隔が長いと濃く黄色っぽくなることがあります。
・感染症(クラミジア・淋菌)で黄色みが強くなることもあります。
・ビタミン剤の影響の場合もあります。

茶色

古い血 が混じっている可能性があります。
・血精液症が改善途中に見られることが多いです。
・数日〜数週間で徐々に改善していきます。

・大量の古い血が凝固したものが黒くなることがあります。
・まれですが、長期間射精しなかった後に見られることもあります。


  • 精液に血が混じる 血精液症は多くが良性で自然に治ることが多いですが中には悪性な物や治療の必要な物もあります
  • 前立腺炎や精嚢炎が一番頻度の高い原因です。
  • 40代以降は血管がもろくなるため、繰り返すこともあります。
  • 前立腺癌や性感染症のサインの可能性もあります。
  • 安心のためにも、一度泌尿器科でのチェックがおすすめです。

精液に血が混じる、血精液症について相談・検査・治療したい方は岡山駅東口徒歩3分の泌尿器科の『おかやま腎泌尿器科クリニック』までお気軽にご相談下さい。

おかやま腎泌尿器科クリニック 

院長 光井 洋介(泌尿器科専門医)

参考文献

  1. Ng, Y.H., See, M.A., & Wong, M.L.
    Hematospermia: A Systematic Review.
    J Androl. 2005; 26(4): 500–505.
  2. Issa, M.M.
    Hematospemia: Etiology, Diagnosis, and Treatment.
    Urology. 2009; 74(5): 1163–1168.
  3. 日本泌尿器科学会
    前立腺炎診療ガイドライン