院長コラム

【尿漏れ改善】難治性過活動膀胱の救世主!膀胱ボトックス療法【頻尿改善】

皆さんこんにちは。

本日は、難治性過活動膀胱に対するボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法(ボトックス療法)についてお話しします。

「薬を飲んでいるけれど良くならない」
「急に尿意がきて間に合わない」
「外出が不安でオムツを使っている」

このように悩んでいる方はいらっしゃいませんか?

その症状、ボトックス治療で改善できる可能性があります。

頻尿や尿失禁に対して投薬以外の治療法があると初めて知る方も多いと思います。

適応や治療法などについてわかりやすく解説していきます。


過活動膀胱とは、

  • 急に強い尿意がくる(尿意切迫感)
  • トイレが近い(頻尿)
  • 夜何度も起きる(夜間頻尿)
  • 間に合わず尿が漏れる(切迫性尿失禁)

といった症状が出る病気です。

通常は内服薬(抗コリン薬やβ3作動薬)で治療を行います。

しかし、

薬を飲んでも十分に改善しない(12週以上)
✔ 副作用(口渇・便秘など)がつらくて続けられない

このような状態を難治性過活動膀胱といいます。

これまでは打つ手がなく薬剤の組み合わせを変更、漢方の追加や水分制限などで「治らない、よくならないならオムツでどうにかするか」と諦められる方も多くいましたが、2020年にボトックス療法が保険適応となり、難治性過活動膀胱に対する次の一手が打てるようになりました。


以下のような方が対象になります。

  • 内服治療を十分に行っても改善しない
  • 薬の副作用で継続できない
  • 強い尿漏れで生活の質が低下している

※治療前に尿検査や残尿測定などを行い、安全に実施できるかを確認します。


ボツリヌス毒素を膀胱の筋肉に直接注射する治療です。

ボツリヌス毒素と聞くと、美容の「シワ取り」を思い浮かべる方も多いと思います。

そうです、そのボトックスなのです。

ただし菌そのものを注射するわけではなくボツリヌス菌の作り出す有能成分の毒素のみを注入するので、感染の心配はありません。

過活動膀胱では、膀胱の筋肉が必要以上に収縮してしまいます。
ボトックスはその過剰な収縮を抑え、膀胱をリラックスさせます。

その結果、

  • 尿意の回数が減る
  • 尿漏れが改善する
  • 夜間のトイレ回数が減る

といった効果が期待できます。

治療時間はおよそ15~20分程度、麻酔や準備時間などを入れると全部で1時間程度を見ていただければと思います。


内視鏡(膀胱カメラ)を使って膀胱内に20か所注射します(下図GSK HPより)。

膀胱にカメラを入れて、20か所も刺すなんて痛そうと思われるかもしれませんが、実際には膀胱内を麻酔し、細い針で注入するため「思ったより痛くなかった」と言われる方が多い印象です。


① 診察・検査
 尿検査・残尿測定・膀胱鏡検査などを行います。

 残尿が100ml以上と多い方はボトックス治療が行えません。

 ボトックス治療前に膀胱内をカメラで確認し他の疾患が隠れていないか確認します。

② 治療日の決定

 治療の説明や同意書に記入を頂きます。

③ 当日
 局所麻酔:膀胱内に液体の麻酔薬を細い管を用いて注入し10~20分待ちます。

その後、内視鏡で膀胱壁にボトックス注射を行います。

④ 治療後
 治療後は院内で少しお休みいただき、排尿ができることを確認したら日帰り帰宅となります。

治療後1~2週間で効果が現れ始めます。早い人は4日ほどで効果が出てきます。

※まれに尿が出にくくなることがあり、その場合は自己導尿が必要になることがあります。


健康保険が適用されます。

3割負担の方でおおよそ自己負担 約5万円程度(検査費用別途)

2割負担の方でおおよそ自己負担 約3万円程度(検査費用別途)

となります。

半年間効果が持続するとすれば、3割負担の人で1日当たり約300円の計算になります。

毎日かかっているおむつ代や薬代などを考えれば、良い選択ではないでしょうか?


効果は個人差がありますが、約6か月前後持続することが多いです。

効果が弱くなってきた場合は、再度治療を行うことが可能です。


難治性過活動膀胱は、

「年齢のせい」
「仕方ない」
我慢する必要はありません。

ボトックス療法は、
これまで改善しなかった患者さんの生活を大きく変える可能性のある治療です。

実際に開業前に勤務していた岡山大学病院でボトックス治療を行っていた時には

「外出が怖くなくなった」
「オムツが不要になった」
「旅行に行けるようになった」

といった治療で劇的に良くなった患者様も多くおられました。

大学病院でも日帰りで行っていたこのボトックス治療をクリニックにてより気軽に受けていただけるようにしました。頻尿や尿漏れでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

Q1. ボトックスは危険な治療ではありませんか?

医療用に精製された安全性の高い薬剤を適切な量で使用します。世界的にも広く行われている標準治療のひとつです。


Q2. 痛みはありますか?

局所麻酔を行うため強い痛みはありません。違和感程度で終わることがほとんどです。


Q3. 入院は必要ですか?

日帰り治療が可能です。治療後しばらく院内で様子をみてから帰宅していただきます。


Q4. 副作用はありますか?

まれに尿が出にくくなることがあります。その場合、一時的に自己導尿が必要になることがあります。事前に十分説明いたします。


Q5. 何回でも治療できますか?

効果が薄れてきた場合、4か月以上あけて再治療が可能です。


尿漏れ・頻尿が薬でよくならない、ボトックス治療について相談・検査・治療したい方は岡山駅東口徒歩3分の泌尿器科の『おかやま腎泌尿器科クリニック』までお気軽にご相談下さい。

おかやま腎泌尿器科クリニック 

院長 光井 洋介(泌尿器科専門医)

■ 参考文献

  1. Gormley EA, et al. Diagnosis and Treatment of Overactive Bladder (Non-Neurogenic) in Adults: AUA/SUFU Guideline. J Urol.
  2. Nitti VW, et al. OnabotulinumtoxinA for the Treatment of Overactive Bladder. N Engl J Med.
  3. Chapple CR, et al. OnabotulinumtoxinA in Overactive Bladder. Eur Urol.
  4. 日本排尿機能学会 過活動膀胱診療ガイドライン