皆さんこんにちは。
本日は、岡山大学で開発され、世界で初めて臨床応用された新しい難治性過活動膀胱治療「ETA治療」についてご紹介します。
2026年1月には、米国医学誌 Cureus にて First-in-Human(世界初の臨床応用)として報告されましたのでその内容について解説していきます。

そもそも「難治性過活動膀胱」とは?
以前のコラムで何度かお話ししたように
過活動膀胱とは、
・急に我慢できない強い尿意(尿意切迫感)
・何度もトイレに行く(頻尿)
・夜中に何度も起きる(夜間頻尿)
・間に合わず漏れてしまう(切迫性尿失禁)
といった症状を認める病気です。
通常は
✔ 生活指導
✔ 抗コリン薬
✔ β3作動薬
などで治療します。
それでも十分な改善が得られない場合を「難治性過活動膀胱」と呼び、
✔ ボツリヌス毒素(ボトックス)注射
で治療します。(以前のコラム参照)
しかしこれらの治療でも頻尿や切迫感が改善しない、残存する患者様がおられます。
そのような患者様のQoLを改善することを目標にETA治療が開発されました。
ETAとは?
ETAとは Endoscopic Topical Application の略です。
日本語では
「内視鏡下薬剤局所塗布療法」 といいます。
従来のボトックス治療は「膀胱の筋肉(排尿筋)」に注射して、筋肉の異常収縮を抑える治療でした。
しかし、
✔ 強い尿意が残る
✔ 夜間頻尿が改善しきらない
といったケースが少なくありませんでした。
どのような作用機序?

近年、「膀胱の知覚過敏」が難治性症状の原因ではないかと注目されています。
特に、
・膀胱三角部
・膀胱頸部
には、尿意を伝える知覚神経が密集しています。
ETA治療では、この“尿意の起点”ともいえる領域に対し、
✔ ボツリヌストキシンを
✔ 粘膜表面に塗布し
✔ 浸透させる
という新しいアプローチを行います。
つまり、
「筋肉を止める治療」から
👉 「感覚を整える治療」へ
という発想の転換なのです。
どのような治療方法?
従来のボトックス治療は「注射」でしたが、
ETAは
✔ 針を使用しない
✔ 内視鏡で確認しながら
✔ 専用アプリケーターで塗布
という低侵襲な方法です。
気膀胱(空気で膀胱を拡張)状態で行うため、薬剤が尿で流されず、標的部位に持続的に作用します。
実際の治療の流れ
- 局所麻酔下で内視鏡挿入
- 膀胱三角部~膀胱頸部を確認
- ボツリヌストキシンを粘膜へ塗布
- 一定時間浸透させ終了
処置時間は比較的短時間で終了します。
実際の効果は?
岡山大学で行われた世界初症例では、
✔ 夜間頻尿回数の減少
✔ 尿意切迫感の軽減
✔ 1回排尿量の増加
が確認されました。
さらに、
✔ 尿閉などの重篤な副作用なし
✔ 注射による組織損傷なし
という安全性も示されています。
なぜ画期的なのか?
✔ 世界初の「感覚神経を標的にした頻尿治療」
✔ 注射をしないボツリヌス治療
✔ 難治性症例への新しい選択肢
従来の治療で
「もう治療法がない」と言われた
「年齢のせい」と言われた
「我慢するしかない」と言われた
そうした患者さんにとって、大きな希望となる可能性があります。
まとめ
ETA治療は、
岡山大学発の
世界初の
難治性過活動膀胱に対する新しい治療戦略です。
「筋肉」ではなく「感覚」にアプローチすることで、これまで改善が難しかった夜間頻尿や強い尿意に対して、新たな道を切り開く可能性があります。
今後も最新の治療情報をお届けしていきます。
難治性の尿漏れ・頻尿について相談・検査・治療したい方は岡山駅東口徒歩3分の泌尿器科の『おかやま腎泌尿器科クリニック』までお気軽にご相談下さい。
おかやま腎泌尿器科クリニック
院長 光井 洋介(泌尿器科専門医)
