院長コラム

さっきトイレに行ったのにまた行きたい!もしかして膀胱炎?

皆さんこんにちは。今日は「膀胱炎」についてお話しします。

膀胱炎といっても、実はいくつか種類があります。


単純性膀胱炎、複雑性膀胱炎、慢性膀胱炎、出血性膀胱炎、放射線膀胱炎、間質性膀胱炎などがありますが、みなさんが普段「膀胱炎」と呼ぶのは、主に 急性単純性膀胱炎 のことです。

以下では、これを「膀胱炎」として説明します。

膀胱炎は字のごとく膀胱の炎症によって生じます。尿道から菌が膀胱に入ることで発症し様々な症状が起きます。

代表的な3つの症状です。

  • 排尿時の痛み:おしっこをするときにしみるような痛み、下腹部の不快感。特に排尿の終わりに感じやすいです。
  • 頻尿:何度もトイレに行きたくなるのに、実際には少ししか出ないことがあります。
  • 尿の濁り:炎症で白血球が増えるため、尿が白っぽく濁ることがあります。

このほかにも残尿感、血尿、尿が出にくいといった症状が出ることもあります。

炎症が激しくなれば膀胱粘膜から出血し血尿となり、驚いて病院を受診される方も多いです。

一度膀胱炎になると、2回目、3回目は「あ、膀胱炎かも」とわかるようになる人もいます。

単純性膀胱炎では熱が出ないのが一般的です。熱が出る場合は別の疾患を合併しているか、炎症が腎臓まで波及している腎盂腎炎になっている可能性があるので注意が必要です。

腎盂腎炎になると入院による点滴治療が必要になります。治療が遅れると菌が全身にまわる敗血症となり重症になることもあります。

膀胱炎にも季節性があるといわれています。

  • 夏:汗で水分が減り、尿の量が少なくなる。
  • 季節の変わり目:体調不良で免疫が下がる
  • 冬:水分をとる量が減る
  • 他にも仕事が忙しくなったり、ストレスを多く感じた時にも膀胱炎になりやすいといわれています。

こうしたタイミングで膀胱炎が増えるといわれていますので、体調管理に気を付けたり、水分摂取が少なくならないように気を付けましょう。

膀胱炎の原因の 80%以上は大腸菌 です。大腸菌はもともと腸にいる常在菌ですが、尿道から膀胱に入り込んで炎症を起こします。

膀胱炎は女性に多いのですが、それは女性の方が尿道が短く、菌が膀胱まで届きやすいからです。


最近では、一部の糖尿病治療薬(尿に糖を出す薬)の影響で膀胱炎が起こりやすくなることも問題になっています。

尿に糖が大量に混じるため、その糖を餌にして菌が繁殖するのです。膀胱炎を繰り返す場合などはそのような薬を内服していないか確認してみましょう。

  • 尿検査:尿検査により白血球や赤血球をみます。
  • 尿培養:どのような菌が原因か培養検査を行います。事前に抗菌薬を飲んでいる場合や菌量が少ない場合はうまく同定できない場合もあります
  • 薬剤感受性検査:同定できた原因菌にどのような薬剤が効果あるかの判定を行います。耐性菌の場合この感受性検査の結果を見て効果のある薬剤に変更します。
  • 必要に応じて超音波:膀胱炎を繰り返している、治りが悪い、基礎疾患がある場合や排尿障害(残尿)の可能性のある方には超音波検査を行うこともあります。

  • 膀胱炎が軽い場合は、水分をたっぷりとって改善することもありますが、自己判断は禁物です。
  • 多くの場合は 抗菌薬(抗生物質) を内服します。大切なのは、処方された薬をきちんと最後まで飲み切ること。症状が良くなったからと途中でやめてしまうと、再発や耐性菌の原因になります。
  • 短期間で繰り返す場合は、耐性菌や他の病気が隠れている可能性があります。
  • 水分をしっかりとる
  • トイレを我慢しない
  • トイレの後は前から後ろに拭く
  • 陰部を清潔に保つ
  • ウォシュレットの使いすぎに注意

いつもと調子が違う。もしかして膀胱炎かも?と思った方は岡山駅東口徒歩3分の泌尿器科の『おかやま腎泌尿器科クリニック』までお気軽にご相談下さい。

おかやま腎泌尿器科クリニック 

院長 光井 洋介(泌尿器科専門医)

参考文献

Gupta K, et al. International clinical practice guidelines for the treatment of acute uncomplicated cystitis and pyelonephritis in women: A 2010 update by the Infectious Diseases Society of America and the European Society for Microbiology and Infectious Diseases. Clin Infect Dis. 2011;52(5):e103-20.