院長コラム

夜のトイレ、何回までが正常?夜のトイレ回数、あきらめていませんか?【夜間頻尿】

皆さんこんにちは。今日は「夜のトイレ回数(夜間頻尿)」についてお話しします。

泌尿器科では、
「夜中に何度もトイレに起きて眠れない
「昼は平気なのに夜だけ頻繁にトイレに行く」
「トイレのせいで熟睡できず、昼間が眠い
という相談を多くいただきます。

中には

年齢のせいだから仕方ない

みんなそうだから…

と我慢してしまう方も少なくありません。


しかし、夜間頻尿には治療できる原因が隠れていることもあります。


今回は、夜トイレに起きる原因と対策についてわかりやすく解説します。


夜間に1回程度トイレに起きるのは、多くの方に見られる現象で、一般的には「正常範囲」とされています。


しかし、2回以上トイレに起きるようになると「夜間頻尿」と呼ばれ、睡眠の質を下げる原因になります。


睡眠不足が続くと、疲労や集中力の低下、高血圧などにもつながるため、注意が必要です。


夜間頻尿にはいくつかのタイプがあります。原因によって治療方法も異なります。

夜に尿がたくさん作られるタイプです。
加齢や心不全、腎臓機能の変化、塩分摂取の多さ、または就寝前の水分摂取などが原因になります。

膀胱に尿をためる力が弱く、少しの尿でもトイレに行きたくなるタイプです。
過活動膀胱、前立腺肥大症、膀胱炎などが関係します。

実際には尿が多くないのに、眠りが浅くてトイレに行ってしまうタイプです。
ストレスや睡眠時無呼吸症候群、うつ病などが関係することもあります。


夜間頻尿の原因を調べるため、泌尿器科では以下のような検査を行います。

  • 尿検査(炎症や糖尿病の有無を確認)
  • 血液検査(腎機能や糖尿病、ナトリウムやカリウム、前立腺癌マーカー:PSAなど)
  • 超音波検査(膀胱や前立腺の状態を確認)
  • 排尿日誌(1日の尿量・回数、夜の回数を記録)
  • 睡眠時無呼吸の検査

これらをもとに、どのタイプの夜間頻尿かを判断していきます。


原因に応じて、次のような治療を組み合わせます。

  • 就寝3時間前からは水分を控える
  • 塩分をとりすぎない
  • コーヒーやアルコールの過剰摂取を控える
  • 足のむくみがある方は夕方に軽く足を上げて休む
  • 規則正しい睡眠リズムを保つ
  • 睡眠時無呼吸の場合はCPAP(持続陽圧呼吸療法)を考慮
  • 過活動膀胱に対しては膀胱を落ち着かせる薬
  • 前立腺肥大症には尿の通りを改善する薬
  • 夜間多尿の場合は尿量を減らす薬
  • 睡眠障害の場合には眠りやすくする薬
    など、症状に合わせて治療を行います。

夜間に2回以上トイレに起きる場合は、「年のせい」とあきらめず、一度泌尿器科へ相談してみましょう。


原因を特定して治療することで、ぐっすり眠れるようになる方が多くいます。

眠れる夜を取り戻すことは、生活の質を大きく改善する第一歩です。

夜のトイレ回数が多い、睡眠不足で困るなどの方は岡山駅東口徒歩3分の泌尿器科の『おかやま腎泌尿器科クリニック』までお気軽にご相談下さい。

おかやま腎泌尿器科クリニック 

院長 光井 洋介(泌尿器科専門医)

参考文献

1.夜間頻尿診療ガイドライン2022.

2.Yoshimura, K., et al.Prevalence of nocturia and associated risk factors in the adult population of Japan. International Journal of Urology. 2019; 26(10): 999–1007.
3.van Kerrebroeck, P., et al. The standardization of terminology in nocturia: Report from the Standardisation Sub-committee of the International Continence Society (ICS). Neurourology and Urodynamics. 2002; 21(2): 179–183.
4.Weiss, J.P., et al. Nocturia: Causes, consequences, and clinical approaches. Nature Reviews Urology. 2019; 16(7): 418–433.