院長コラム

ペニスに痛いブツブツ!意外に多い「性器ヘルペス」

皆さんこんにちは。


本日は、性感染症の中でも頻度の多い「性器ヘルペス」についてお話しします。

「ヘルペス」というと、唇のまわりにできる「口唇ヘルペス」を思い浮かべる方も多いかもしれません。


実はその“ブツブツ”が性器周辺にできることがあり、それが性器ヘルペスです。


性器ヘルペスの原因は「ヘルペスウイルス(HSV)」というウイルスです。


主に以下の2種類があります。

  • HSV-1(1型ヘルペスウイルス):口唇ヘルペスの原因になることが多い
  • HSV-2(2型ヘルペスウイルス):性器ヘルペスの原因になることが多い

ただし最近では、オーラルセックスなどによりHSV-1が性器に感染するケースも増えています。


性器ヘルペスの症状は「初めて感染した時(初発)」と「再発」で異なります。

・性器や陰嚢、肛門まわりに痛みを伴う小さな水ぶくれ(ブツブツ)ができます。
・発熱やリンパ節の腫れ、排尿時の痛みを伴うこともあります。
初感染では症状が強く、治るまでに2週間ほどかかることもあります。

・体調不良、ストレス、睡眠不足などをきっかけに再びブツブツが出ます。
初発よりも症状は軽く、数日で治まることが多いです。
・繰り返す人も多く、年に数回再発することもあります。


見た目が似ているため、「ヘルペス」と思っていても、実際は梅毒軟性下疳など別の性感染症であることもあります。


自己判断せず、泌尿器科で検査を受けることが大切です。


性器ヘルペスは、抗ウイルス薬の内服で治療します。

発症から早めに内服を始めることで、症状の期間を短くできます。

症状に合わせて塗り薬も処方することもあります。


重症の場合は点滴治療が必要なこともあります。


年3回以上再発を繰り返す人で、患者さん自身で再発の症状を判断できると思われる方には事前にお薬を渡しておき、初期症状が出たらすぐに内服をしてもらうことで症状を軽減することができます(PIT療法)。

年6回以上再発するような患者様には毎日少量の抗ウイルス薬を服用して再発を予防する「再発抑制療法」があります。再発の頻度を減らし、感染リスクを下げる効果が期待できます。


Q1. どこから感染したかわかりますか?
ほとんどは性行為(性器接触・オーラルセックス)で感染します。
ただし、感染してから発症までに時間が空くこともあり、どのタイミングで感染したかを特定するのは難しいです。


Q2. 症状がない時でも相手にうつりますか?
はい。症状が出ていなくてもウイルスが排出されていることがあります。
また病変が小さくて気が付いていない可能性なども考えられます。
コンドームで感染リスクを減らせますが、完全に防ぐことはできません。


Q3. 一度かかると治らないのですか?
 ヘルペスウイルスは体内に潜伏し、完全に消すことはできません。
しかし、抗ウイルス薬を使うことで発症を抑えることができます。
多くの方は再発を繰り返すうちに症状が軽くなり、頻度も減っていきます。


Q4. 自分がウイルスを保有しているかわかりますか?
血液検査やPCR検査でヘルペスウイルスの有無を確認することができます。
症状があるときは水疱部分からの検査も可能です。


性器のブツブツについて相談したい、もしかしてヘルペスかも?と思った方は岡山駅東口徒歩3分の泌尿器科の『おかやま腎泌尿器科クリニック』までお気軽にご相談下さい。

おかやま腎泌尿器科クリニック 

院長 光井 洋介(泌尿器科専門医)


参考文献

  1. Centers for Disease Control and Prevention (CDC). Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021.
  2. 日本性感染症学会ガイドライン(2023年版)
  3. Corey L, Wald A. “Genital Herpes.” N Engl J Med. 2009;361:1376–1385.