院長コラム

性病って何?どんな種類があるの?

皆様こんにちは。今回は「性病(性感染症)」について、総論的にご説明します。

岡山は2024年に梅毒という性感染症が人口100万人あたりの感染者数で東京、大阪に次いで第3位という結果であり、梅毒以外の性感染症患者も多いことが予想されます。

近年ではマッチングアプリなどの普及もあり風俗店利用者でなくとも、普通に生活している中でも性感染症にかかる可能性は大いにあります。

本日は性感染症についてどのようなものがあるかを簡単に説明します。

性病(性感染症、STD/ STI)とは、性行為や性的接触を通じて感染する病気のことをいいます。

性交渉だけでなく、オーラルセックス、アナルセックス、または皮膚や粘膜の接触、血液を介して感染するものもあります。

性病の怖い点は、自覚症状が乏しいことが多いという点です。ほとんど症状が出ないまま進行するケースもあり、気づかないうちにパートナーへ感染を広げてしまうこともあります。

また、放置することで特に女性では不妊や流産・早産、全身の合併症、さらには命にかかわる病気へ進展する場合もあるため、早期発見と適切な治療が非常に重要です。

ここでは代表的な性病について簡単にご紹介します。

  • 淋菌感染症(淋病)
     淋菌という細菌による感染で、男性では尿道炎を起こし、排尿時の強い痛みや黄色〜緑色の膿のような分泌物が出ます。女性は膣炎や骨盤内感染を起こし、不妊の原因となることもあります。

クラミジアとの重複感染もします。

  • クラミジア感染症
     日本で最も多い性病です。男性は軽い排尿痛や違和感、女性は不正出血や下腹部痛が出る場合がありますが、無症状のことが非常に多いです。そのため気づかないうちに感染を広げてしまいます。
  • マイコプラズマ・ジェニタリウム
     近年増加傾向にある病原体で、淋菌やクラミジアと似た症状を引き起こします。特に問題なのは**抗菌薬が効きにくい(耐性化)**ことです。
  • ウレアプラズマ
     マイコプラズマと同じような症状がでることがあります。検査は保険収載されておらず、自費検査になります。
  • 梅毒
    戦後一時は減少しましたが、ここ数年で再び急増加しています。初期はしこりや潰瘍、進行すると全身に発疹が出て、さらに放置すると心臓や脳に重篤な障害をきたすことがあります。妊娠中に梅毒に感染すると生まれてくる子供は先天梅毒となる可能性があるため注意が必要です。
  • 単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症
     外陰部に痛みを伴う小さな水ぶくれができます。再発を繰り返す特徴があり、パートナーにもうつりやすいです。初期感染時に強い痛みがあるとされています。
  • カンジダ症
     女性に多く、強いかゆみや白いポロポロしたおりものが特徴です。男性でも亀頭炎を起こす場合があります。
  • 尖圭コンジローマ(HPV)
     ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因で、外陰部や肛門周囲にイボができます。再発しやすく、見た目の不安や不快感が強い病気です。
  • トリコモナス症
     女性では泡状で悪臭のあるおりものやかゆみを起こします。男性はほとんど無症状で、パートナーへの感染源となることが多いです。
  • 毛じらみ
     陰毛に寄生し、強いかゆみを起こします。肉眼で確認できることもあります。
  • HIV感染症(エイズ)
     免疫力が徐々に低下し、さまざまな感染症やがんにかかりやすくなります。現在では早期から治療すれば長期にわたってコントロール可能になっています。
  • 肝炎ウイルス(A型・B型・C型)
     血液や体液を介して感染します。特にB型・C型は慢性肝炎から肝硬変、肝がんへ進行することがあり注意が必要です。
  • 一般細菌(大腸菌など)
     性交後に尿道炎や膀胱炎の原因になることがあります。
  • 一般ウイルス(アデノウイルスなど)
     咽頭炎や結膜炎が性行為を介して感染することがあります。

性病の中でも、淋菌とクラミジアが圧倒的に多くを占めています。特にクラミジアは無症状で気づかないケースが多く、放置すれば不妊症の原因となるため注意が必要です。

さらに近年では、マイコプラズマ・ジェニタリウムの感染が増えており、抗菌薬耐性菌が問題視されています。今後さらに治療が難しくなることが予想され、早期の診断・適切な治療がますます大切になります。

性病は決して珍しい病気ではなく、誰にでも起こり得ます。症状が軽くても放置せず、泌尿器科クリニックなど専門の知識のあるところでの検査・治療を受けることが大切です。

膿が出る、尿道に違和感がある、パートナーが性病だったなど性病について相談したい、検査・治療したい方は岡山駅東口徒歩3分の泌尿器科の『おかやま腎泌尿器科クリニック』までお気軽にご相談下さい。

おかやま腎泌尿器科クリニック 

院長 光井 洋介(泌尿器科専門医)

参考文献:https://www.pref.okayama.jp/page/detail-92882.html

    :性感染症診断・治療ガイドライン2020