皆さんこんにちは。
今回は男性のデリケートなお悩み、「勃起不全(ED)」についてのお話です。

そもそもEDってなに?
ED(Erectile Dysfunction)とは、「満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られない、もしくは維持できない状態」を指します。
日本ではおよそ 1,130万人 がEDといわれており、50代では3人に1人、60代では2人に1人が該当します。
「まだ若いから関係ない」と思われがちですが、20代・30代でもストレスや生活習慣の影響でEDになることは十分あります。
実はEDは“動脈硬化のサイン”!?
勃起に関係する陰茎の血管は非常に細く、動脈硬化の影響を最も早く受ける臓器の一つです。
つまり、EDは心臓や血管の病気(動脈硬化)の初期症状ともいわれています。
実際、ED治療薬(バイアグラ®など)は血管内皮に働きかけて血流を改善する作用があり、「血管のアンチエイジング薬」としての側面もあります。
EDの主な原因は?
EDの原因は1つではなく、いくつかの要因が重なって起こります。
- 加齢
- 生活習慣病(糖尿病・高血圧・高脂血症など)
- 喫煙・肥満・運動不足
- 睡眠不足やストレス
- 抑うつ状態
- 薬の副作用
- 男性ホルモン(テストステロン)の低下
- 前立腺肥大症や慢性腎臓病 など
特に、血管年齢が高い人や生活習慣が乱れている人はリスクが高いとされています。
EDの治療法は?
EDの治療は、まずは内服薬(PDE5阻害剤:バイアグラ®・レビトラ®・シアリス®)が第一選択です。
これらの薬は「性的刺激があるときにだけ勃起を助ける」働きをするため、自然な反応に近いのが特徴です。
副作用としては、頭痛・鼻づまり・ほてりなどがみられることがありますが、多くは軽度で一時的なものです。
また、お酒との併用も可能ですが、飲みすぎると逆に勃起力を下げてしまうため注意が必要です。
20代でもEDになる?
EDは40歳以降に多いと思われがちですが、泌尿器科をしていると20代、30代のEDの相談を多く受けることがあります
若い方のEDは主に以下の2つのタイプがあります。
- 心理的ED:過去の失敗体験、不安、ストレス、緊張、妊活のプレッシャーなどが原因。
- 生活習慣型ED:寝不足・過労・喫煙・飲酒・スマホ長時間使用による自律神経の乱れ。
これらは、しっかり休養をとったり、適度な運動をするだけで改善することもあります。
検査・治療を受けるタイミングは?
「硬さが足りない」「途中で維持できない」と感じているなら、それは立派なEDのサインです。
ED治療薬は原因を問わず約7〜8割の方に効果があるため、まずは気軽に試してみるのも良い選択です。
ED薬の安全性は?
「バイアグラは危険」と思われがちですが、正規の医療機関で処方された薬は非常に安全です。
むしろ、偽物の個人輸入薬は健康被害や死亡例も報告されており危険です。
ED薬はもともと心臓の薬として開発されており、心臓が悪くなることはありません。
長期的には血管機能を改善し、動脈硬化の予防にもつながります。
硝酸薬など併用してはいけない薬などもありますので内服薬がある方は医師にお知らせください。
【よくある質問 Q&A】
Q. 子作りに影響はありますか?
→ 影響はありません。妊娠や胎児への悪影響はないとされています。
Q. 一度飲むとずっと続けないといけませんか?
→ 耐性はできません。必要なときにだけ使うでも良いですし、続けて使うことで血流が改善し、薬が不要になる方もいます。
Q. 勃ちっぱなしになりませんか?
→ 性的刺激がなくなれば自然に治まります。血液の病気がない限り、持続勃起症になることはほとんどありません。
まとめ
EDは「年齢のせい」だけではなく、生活習慣病やストレス、動脈硬化など全身の健康状態を反映するサインです。
早めに相談・治療することで、性生活の改善だけでなく、心臓病や脳卒中の予防にもつながる可能性があります。
次回のコラムでは、「バイアグラ・レビトラ・シアリスの違い」について詳しくご紹介します。
EDについて相談・検査・治療したい方は岡山駅東口徒歩3分の泌尿器科の『おかやま腎泌尿器科クリニック』までお気軽にご相談下さい。
おかやま腎泌尿器科クリニック
院長 光井 洋介(泌尿器科専門医)
📚 参考文献
- 日本性機能学会 編. ED診療ガイドライン 第3版. 金原出版, 2021.
- Montorsi F, Adaikan G, Becher E, et al. Summary of the recommendations on sexual dysfunctions in men. J Sex Med. 2010;7(11):3572–3588.
- Vlachopoulos C, Jackson G, Stefanadis C, Montorsi P. Erectile dysfunction in the cardiovascular patient. Eur Heart J. 2013;34(27):2034–2046.
- Yafi FA, Jenkins L, Albersen M, et al. Erectile dysfunction. Nat Rev Dis Primers. 2016;2:16003.
